適切な英語学習方法の一つとしてよく耳にするのが、映画を使った勉強法ではないでしょうか。
しかし効果的な映画の学習法はと聞かれると自信がない方も多いと思います。
今回はそんな映画を使った英語学習の方法やおススメのコンテンツなどを、初心者の方から中級者の方までレベルにあわせてご紹介したいと思います。
正しい映画の見方を極めて、ぜひ英会話力の向上に役立ててくださいね。
おすすめ映画①:『ターミナル』
リスニング初心者に1番おすすめの映画はターミナル。
ざっくりあらすじ説明すると、主人公は、東欧から初めてアメリカに来た優男。
ところがフライト中に、母国でクーデターが起こり国が消滅してしまいます。
クーデターの影響で帰国できない一方、国籍を失いビザが失効したため、空港から出ることも許されません。
結果として主人公は、ニューヨークの空港内で数ヶ月の間暮らすことを余儀なくされることに…。
映画「ターミナル」の醍醐味はなんといっても、主人公がはじめ全く英語を喋れないところ。
最初は身振り手振りで自分の意思を伝えていた彼も、徐々に英語を覚えコミュニケーションを取れるようになります。
こうして非英語話者の主人公が、絶望的な状況で英語を身につけ友人や恋人と出会っていく、というぶっ飛んだストーリーが人気の秘訣です。
映画「ターミナル」では、実際に空港で使われるような英語が沢山出てきます。
- check in 搭乗手続き
- destination 目的地
- flight number 便名
- on time 時間通り
- delayed 遅延している
- canceled 欠航
- international flight 国際線
- domestic flight 国内線
- transfer 乗り継ぎ
- boarding pass 搭乗券
- carry-on baggage 機内持ち込み手荷物
- security check 手荷物検査
- immigration/passport control 出入国審査
- baggage/luggage claim 手荷物受取所
- customs 税関
現実でも、イミグレーション(入国審査)では実際に映画で使われるような決まり文句の質問をされます。
・What is the purpose of your visit? Business or pleasure?
→ 入国の目的は何ですか?
・How long will you be staying?
→ どれくらい滞在する予定ですか?
・Could I see your return ticket?
→ 帰りの航空券を見せてください。
覚えておくと便利なフレーズが沢山出てくる、オススメの映画です。
おすすめ映画②:『アナと雪の女王』
日本人の場合、小さい頃から馴染みのある「トトロ」や「ハウルの動く城」などのジブリ系の映画であれば、内容が頭に入ってくるし見やすい!という方が多いのではないでしょうか…?
もちろんジブリでも英語学習は可能です。
ですが、ジブリ系の映画で英語学習をするとなると英語版DVDなどを購入したり、借りなければいけなくなってしまい、敷居が高く感じてしまう恐れがあります。
そこでオススメするのが、ディズニー映画の1つ「アナと雪の女王」です。
アナと雪の女王であれば、普通にレンタルショップで借りることができ、日本語版DVDプレーヤーで英語Verも見ることができます。
そして何と言っても、アナと雪の女王で出てくる英語は”驚くほどやさしい”のです。
中学高校レベルの英単語だけで90%以上を占める映画はあまりなく、私が調べた限り最高がトトロで、他のジブリ作品も90%前後なのです。
ところが驚くべきことに、アナと雪の女王で出てくる英単語は、トトロに次いで英単語が易しいのです。
劇中で使われる単語のほとんどは高校までに習う英単語ですが、ネイティブがよく使うイディオムやフレーズも多く登場し、非常に勉強になるのが特徴です。
近年の映画は世界中をマーケットにするために、より分かりやすいストーリーを志向しているようで、英語そのものも易しくなってきています。
特にディズニー作品は子供向けなので、更に英語が易しいのでしょう。
このアナと雪の女王が典型的な例です。
英語初心者の方にとって、シンプルな表現が多いディズニー映画は最適な教材です。
さらに理解力を深めたい方には、英語を見た後に映画の台本「スクリプト」を読むことをおすすめします。
映画の台本、スクリプトを読んだ後に、映画を見れば劇的に英単語が聞き取れるようになります。
台本、スクリプトを読む方法は2つあります。
ひとつ目は書籍を購入する方法です。有名な映画だと映画の台本、スクリプトが本として出版されています。
書籍の場合、英語学習者用に作成されており、日本語訳もついているので使用しやすいです。
アナと雪の女王(Frozen)は台本、スクリプトが記載されている本も出版されています。
もうひとつの方法は、インターネットでスクリプト、台本を検索する方法です。
「Frozen script」など、映画の英語題名 + scriptで検索すると英語のすべての台本、スクリプトが出てきます。
台本、スクリプトを読むにはkindle、pocket、LingQのアプリを使うと便利です。
また、ほかの海外ドラマ、映画、アニメを見たときにも同じような表現がたくさん出てきていることにも気づくと思います。
この方法を続けていくと、ただ映画を見続けるよりも遥かに速いスピードで、海外映画を字幕なしで見ることができるようになります。
アナと雪の女王の小説に挑戦する
台本・スクリプトを読んだ後は、小説にもチャレンジしてみましょう。
「アナと雪の女王」の小説は、英語ネイティブの9~12歳向けに書かれた本でオススメの一冊です。
Frozen Junior Novelization (Disney Frozen)
- 作者:RH Disney
- 出版社/メーカー: RH/Disney
- 発売日: 2013/10/01
- メディア: ペーパーバック
一般的な洋書のペーパーバックよりは読みやすいです。
台本・スクリプトと比べた時、小説は描写が多くなる分やや難しくなります。
ただ、この本は子ども向けに書かれているので、台本・スクリプトを読んだ後であればちょうどいいレベルでしょう。
おすすめ映画③:『イエスマン』
主人公を演じるジムキャリーが、何事にも「イエス」と言い始めた途端、人生が好転していくという、とても明解で単純なストーリー。
ジムキャリーの話す英語ははっきりとしていて聞き取りやすいので安心です。
笑いもあるが、自分の態度、人生についても考えさせられる映画です。もちろん、場合によっては「ノー」ということも大切なんですが、「ノー」と言うことで、多くの機会を逃しているのも事実です。
めんどくさいという理由で「ノー」というのは辞めようとか、大変でも「イエス」といった方がいいなとか、ちょっと態度を改めることができた気がします(笑)
ま、でもさすがジム・キャリ―。面白おかしく演じていて、笑いの絶えない映画です。
セリフも難しくないものばかりなので、ぜひ英語学習に活用してみてくださいね!
おすすめする映画の特徴
1. 何度も見ても飽きないくらい好きな映画を選ぶ
英語教材として映画を使う場合、同じストーリーを繰り返し見ることになります。
一度見たら二度目は楽しめないような映画では、英語学習が苦痛になってしまいます。
何度も楽しめる映画を選びましょう。
ディズニー映画や子ども向けのアニメをすすめる人がいますが、よほどディズニー映画が好きな人や忍耐力のある人でなければ、繰り返し見るのは嫌になってしまいますよね。
2. 家庭もの、恋愛もの、学園ものなどを選ぶ
これらの映画は日常生活が題材なので、日常的な会話がたくさんあります。
つまり、日常英会話を勉強するのにぴったりです。
また、専門用語や特殊なスラングなどが少ないので、英語初心者・中級者にも理解しやすいです。
3. 新しい映画を選ぶ
インターネットやスマートフォンの普及に伴い、10年前には存在しなかった表現がたくさん生まれました。
たとえば、「自撮り(selfie)」なんて言葉は昔はありませんでしたが、今では誰でも使っています。
どうせなら、こうした言葉も学べた方がいいので、あまり古い映画は選ばない方がいいでしょう。
4. イギリス英語にこだわらないならアメリカの映画を選ぶ
「イギリスに留学したい」「イギリスに住みたい」「イギリス人の友達がほしい」という強いこだわりがなければ、アメリカの映画だけを見ることをおすすめします。
なぜなら、イギリス英語とアメリカ英語は、発音や表現が違う部分がたくさんあるので、どちらか一方に統一した方が効率よく学ぶことができるからです。
また、日本の学校で習う英語はアメリカ英語なので、アメリカの映画の方が理解しやすいということもあります。
なお、「アメリカ英語の表現はイギリス人に通じない」なんてことはないので安心してください。
5. 単純なストーリ− or すでに知っているものを選ぶ
映画を選ぶにあたっては、複雑な内容のものを避け、なるべく単純なストーリーのものや、すでに内容を知っているものを選ぶといいでしょう。
そのほうが英語を耳で理解する際のハードルが低くなり、より聞き取りやすくなります。
オススメは、ジブリの「魔女の宅急便」。
魔女のキキが親元を離れて魔女の修行にでる中で、多くの人の温かさに触れながら成長していく、心温まるストーリー。わかりやすいお話で、簡単な英語が使われているので、初心者さんにはオススメです。
映画を見る為のオススメサービス
映画を見る為に、その都度DVDをレンタル・購入する作業は、少々手間が掛かるものです。
そこで、効率良く様々な映画を見ることが見ることができる、映画見放題のオススメサービスを3選ご紹介していきます。
映画を見る為のオススメサービス①:【Netflix】映画のラインナップが最強!
月額880円〜(2020年4月現在)で映画、ドラマ、バラエティ、アニメなどが見放題になる動画配信サービス。
海外でも「暇な時間はNetflixを見ている」という人が多いほど世界的に有名なストリーミング会社です。
他の配信サービスに比べて映画のラインナップが豊富なので、映画好きにはオススメ。
多くの映画に英語字幕がついているのも学習者にとっては嬉しい点です。
また、Netflixオリジナルの海外ドラマ作品も豊富なので、ここでしか見られない質の高い海外ドラマに出会えることまちがいないでしょう。
映画を見る為のオススメサービス②:【Hulu】6万本が月額1,000円ほどで見放題
人気の映画やドラマ、バラエティ、アニメなど6万本もの映像コンテンツが月額1,026円(2020年4月現在)で見放題。
パソコンだけでなく、スマホやタブレットでもアプリを使って視聴でき、ダウンロード機能を使えば外出先でも通信料を気にせず視聴できます。
英語字幕作品の検索もできるので、効率よく学習に向いている作品を選ぶことができますよ。
映画を見る為のオススメサービス③:【Amazon Prime Video】映画も音楽も!安さが魅力!
年間4,900円(もしくは月額500円)でプライム会員になれば、プライム会員特典映画やテレビ番組、アニメ、音楽、本や雑誌まで見放題になるとてもお得なサービスです。
本数はHuluに比べると少ないですが、なにより業界一安いので、最初はここから始めてみてもいいですね。
映画を使った英語学習のメリット
ここまで英語学習にオススメの映画や、オススメする映画の特徴をご紹介してきました。
ところで、英語学習方法は沢山ありますが、その中でも映画で英語学習を行うメリットは何なのでしょうか…?
ここから先は、映画を使った英語学習のメリットをご紹介していきます。
映画を使った英語学習のメリット①:生きた英語を学べる
映画で登場人物が話す会話はまさに生きた英語。
現在ネイティブが使っている英単語やスラングなども含まれているので、実際に海外旅行などに行った時にも「これ、あの映画で使われていたな!」と感じる事が多く、実践的です。
映画を使った英語学習のメリット②:映像があるので続けやすい
英語を上達させる1番の秘訣は継続。語学の習得は、時間を味方につけることが必須条件です。
映画の醍醐味はやはりその映像。登場人物の会話が万が一わからなくても、その映像を元に、想像したり推測したりすることができます。
また好きな女優や俳優が出演していれば見ているだけで楽しいので、英語学習としても続けやすいのです。
外国語を習得するためには「最低でも約3,000時間の継続学習が必要」といわれています。
つまり、語学に才能は関係ないと言うこと。
大人になってから外国語を身につけるために重要なのは、時間の使い方。
つまり、才能よりも継続が何よりも大切なのです。
映画を使った英語学習のメリット③:記憶に残りやすい
映画という物語をベースに英語を学習すると、そこで出てきたフレーズが記憶に残りやすいという効果があります。
それは例えば「このフレーズは007のあのシーンで出てきたセリフだ!」というように、物語と一緒にフレーズを覚えることができるからです。
参考書や辞書だけでフレーズを覚えていくのが苦手という方には特にオススメです。
映画を使った英語学習のメリット④:多様な英語に触れられる
2019年現在、世界の英語話者の80%が非ネイティブです。洋画で様々な国のアクセントに触れ、リスニングの耐性をつけておきましょう。
ちなみに日本で売られている参考書のほとんどがアメリカ英語なので、自分で学びたい英語を選べるのは実質、洋画や海外ドラマだけです。
英語を勉強している人で、アメリカ英語以外はまだ苦手だ…と言う方がいますが、アメリカ人の英語しか知らないからもしれません。
逆に、洋画で色んな英語に触れてる人や、海外に出たことある人が、その手の批判をしてるのはあまり聞いたことがありませんね。
またTOEICやIELTSなどの英語試験では、様々なアクセントの英語が出題されるため、アメリカ以外の英語に慣れておかないと苦戦します。
元々イギリス英語が全然聞き取れなかった人が、イギリス人俳優が出てる映画を見て対策していると言うこともあります。
イギリス英語ならベネディクト・カンバーバッチ主演の映画、オーストラリア英語ならヒュー・ジャックマン…みたいな感じで見てみると楽しく学べそうですね。
「どのアクセントを身につけたいか」を軸に作品を選ぶのが良いですね。
映画を使った英語学習のメリット⑤:耳と目の両方を使うので英語学習に最適
語学学習は、なるべく五感を一度に沢山使ったほうが、上達が早いと言われています。
たとえば「参考書の文字を目で追うだけ」というよりは、「目で文字を追いながら、付属のCDをかけて耳で正しい発音を聞く」ほうが内容が定着しやすいということです。
その点においては、「目で字幕を追って、耳で正しい発音を聞く」ことができる映画は、最低でも2つの五感を使っているので英語学習には向いているのです。
映画を使った英語学習の注意点
映画を使った英語学習のメリットを紹介したので、次は映画で英語学習を行う際の注意点を2つ、お伝えしていきたいと思います。
映画で英語学習の注意点①:レベルに合った映画を見ていない
効果的に英語を習得するには、自分のレベルに合った映画を見るというのは大切です。
あまりにレベルが高すぎる映画だと、ほとんど理解できず楽しめませんし、そうなると学習自体も継続しにくいでしょう。
自分のレベルに合った映画を見つけるというのは一つの大切なポイントです。
英語学習という点においておすすめしない映画は、アクションもの、法廷もの、刑事もの、時代ものなどです。
アクションものをおすすめしないのは、アクションシーンばかり多くて台詞が少ないので効率が悪いからです。
どうせ2時間の映画を見るなら、そのほとんどがカーアクションやドンパチの映画より、台詞たっぷりの映画を見た方が英語力アップにつながります。
法廷もの、刑事もの、時代ものをおすすめしないのは、専門的な表現や時代がかった表現がたくさん使われているからです。
法律用語や警察が使う言葉、時代がかった表現を覚えても、時間がかかるだけで日常会話ではほとんど使いません。
もちろん、そういった特殊な表現を覚えたい場合は、こういうドラマを選んでもかまいません。
しかし、難しい単語や略語、表現がたくさん登場するため、 英語初級者・中級者が英語を勉強するのには適していません。
家庭もの、恋愛もの、学園ものなどをある程度理解できるようになってから挑戦することをおすすめします。
映画で英語学習の注意点②:中学レベルの文法や英単語が全くわからない
中学生で学ぶ文法や英単語に自信がない場合、映画の中のフレーズを理解できず、記憶に残りにくくなってしまう懸念があります。
まだ幼い赤ちゃんや幼児であれば、何もわからなくてもひたすら見ることで英語を母国語のように覚えることが可能ですが、大人の場合は同じようにはいかないのが現実です。
大人が効率よく映画で学習をするためには、中学レベルの英語は簡単に復習しておくほうがいいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか…?
映画を見て楽しみながら英語力も向上すれば最高ですよね。
決して理想ではなく、今回ご紹介した方法を3ヶ月間毎日続ければ、確実にリスニング力や会話力はアップします。
選び方のコツを参照いただきながら、自分が何度も見たいと思う映画を見つけて、ぜひ実践に移してみてくださいね。