英語学習初心者はまず身の回りのものや動作を英語で表現できるようにするのがオススメです。
この記事でも触れていますが、自分の体験に関連した英語表現が増えると、それに比例して英語で説明できることがどんどん増えていきます。
みなさんは料理をしますか?凝った料理ではなくとも、焼いたり炒めたりという簡単な調理をしたことはあると思います。
料理の工程を説明する英語をマスターして自由に使えるようにしていきましょう!
とにかく広い日本語の「焼く」
日本語では、
魚を七輪で炙って焼いても
トースターでパンを焼いても
肉を網の上で焼いても
すべて「焼く」です。すごく便利な言葉です。
ただし、
トースト → トースト
ベイクドチーズケーキ → ベイク
ミックスグリル → グリル
ローストビーフ → ロースト
このように、
日本のファミレスのメニューにもよくあるカタカナ語を見てもわかるように、「焼く」にはたくさんの英語表現がありそうです。
「焼く」を強調しないならcookでOK
cook
cook
to prepare food for eating by using heat(ロングマン英英辞典)
cookには単純に料理を作るという意味に加えて、「火を使って」というニュアンスが含まれています。
「焼く」に限らず、「火を使って何かを作る」というときには広く使える言葉です。
(朝食を作る、と約束しました。)・Cook in a hot oven for 25 minutes.
(オーブンで25分調理します)
お気づきの通り、サラダなど火を使わない調理にはcookは使えません。
この場合は
make, fix, prepare, do
などを使うことができます。
つまり、「調理をする、料理を作る」ということだけを使えたいならばcookやmakeで十分なんです。
日本語であれば前後の文脈や食材などから聴き手が想像してくれるのですが、英語で詳細を伝えたいならそれぞれのニュアンスを含んだ単語を選ぶ必要があります。
英語ではそれぞれの単語に「どんな食材」を「どのように」焼いたのかというニュアンスが含まれているので、より多彩な表現ができます。
また、アメリカ英語とイギリス英語の間でも使われ方の違いがありますので、それというらを見ていきます。
bake|クッキーやパンをオーブンで焼く
bake
to cook something using dry heat, in an oven(ロングマン英英辞典)dry heat:直火
「ベイクドチーズケーキ」など、日本でもよく耳にする “bake(ベイク)” は基本的にパンやクッキーをオーブンで焼くときに使われる単語です。
(オーブンでパンを焼いたよ!)
ここで “in the oven” と丁寧に説明をしていますが、この部分がなくても「あー、オーブンで焼いたんだね」というニュアンスが伝わります。
もし、同じオーブンでも野菜や肉、魚などをオーブンで焼くときは “roast” を使います。ベイクドポテトという料理がありますが、これは例外ですね。
また、すでにパンとして出来上がったものを再度温めて焼き目をつけたりするときには “toast” です。
toast|肉や魚、野菜をオーブンで
toast
to make bread or other food brown by placing it close to heat(ロングマン英英辞典)
「トースト」という言葉もカタカナ語として定着しているので想像しやすいと思います。
また、“toast” は「乾杯」という意味でよく使われる言葉の一つです。(他には “Cheers” が良く知られていますね)
これは古代ヨーロッパの催事の際にお酒の中に焼いたパンを入れてお祝いをしたという風習に由来する使われ方だと言われています。
エピソードとともに覚えて、お酒の席で “Toast!” と使ってみましょう!
roast|肉や野菜をじっくり焼く
roast
to cook something, such as meat, in an oven or over a fire, or to cook in this way(ロングマン英英辞典)
日本語だと、「ローストビーフ」という言葉が一番 “roast” を連想しやすいでしょうか。
手っ取り早く理解するには、野菜や肉、魚など「パンやお菓子以外のもの」をオーブンで焼くときは “roast” がよく使われる、と覚えましょう。
食材は小さく切ったもの、というよりは丸焼きで、オーブンの輻射熱でじっくりと熱を入れるというニュアンスを含んでいます。
ローストビーフやローストチキンなどは料理名にもなっていますが、これらは日本人にとってもその見た目から調理方法が目に浮かびやすい良い例ですね!
また、コーヒー豆など、日本語で豆などを「炒る」ときにも “roast” が使われます。
grill|網などを使って直火で焼く
grill
if you grill something, or if it grills, you cook it by putting it on a flat metal frame with bars across it, above or below strong direct heat(ロングマン英英辞典)
(魚に塩コショウで味付けをしてから焼いてください。)
日本人にとっては「焼く」という言葉から直訳して一番に浮かびやすいのが “grill” かもしれません。
広義の “to grill” は鍋を使わずに焼くことを示します。
網に限らず、日本ではよくガスコンロやシステムキッチンに内蔵されているような魚焼き器や七輪で魚を焼くときなども “grill” を使います。
辞書によっては「網などの上に肉などを置いて、下から直火をあてるときに “grill” を使う」と表現されているものもあります。
調理法にもそれぞれの国で特徴があり、日本人にとっては「上から火をあてる」という状況に馴染みがないかもしれません。
海外では、オーブンにそのような焼き方をするための切り替えスイッチがあったり、別の棚があったりするのが普通です。食材の上に焦げ目を付けながら調理するようなニュアンスがあります。
火を上からあてるか・下からあてるかに関してですが、イギリス英語ではどちらの場合も “grill” を使います。
一方、アメリカ英語ではオーブンの強い上火で焼く場合には “broil” という単語を使います。先述したようにオーブンにも切り替えスイッチがついており、そこには ”broil” と書かれていることが多いです。
broil|上からあぶって焼く
broil
to cook something under direct heat, or over a flame on a barbecue(ロングマン英英辞典)
アメリカ英語とイギリス英語の間には様々な違いがありますが、この「焼く」という言葉の使われ方にも面白い違いがありました。
fry|油で調理する
さて、日本ではオーブンやグリルなどよりもフライパンや調理鍋で調理をすることの方が多いように思います。
日本語では「炒める」とか「揚げる」など、多彩な表現がされますが、広く「油を使って調理をする」という意味を伝える場合は “fry” が使われます。
fry
to cook something in hot fat or oil, or to be cooked in hot fat or oil(ロングマン英英辞典)
日本語だと “fry(フライ)” という言葉は「揚げもの」を連想しそうですが、英語で特に「衣をつけて、たっぷりの熱した油の中で揚げる」ということを表現したい場合は ”deep-fry” と言います。
逆に「炒める」は “stir-fry” と言います。 “stir” には「混ぜる」という意味がありますね。
stir-fry
to cook small pieces of food quickly by moving them around continuously in very hot oil(ロングマン英英辞典)
・材料を小さく切り
・薄く油を引いた(主に中華鍋などで)
・かきまぜながら素早く調理する
つまり、一般的な中華料理の調理法として使われる単語のようです。
「中華鍋で」というニュアンスを含んでいるために、「フライパンで」という表現をしたい場合は “pan-fry”と言えばOKです。
また、「ポークソテー」や「ほうれん草のソテー」など料理名で耳にしたこともあるかもしれませんが、“saute” も「炒める」の意味で使うことができます。
ニュアンスの違いをまとめます。
stir-fry 強火で混ぜながら中華鍋で炒める
pan-fry フライパンで炒める
saute 素早く炒める/サッと火を通す
このように使い分けることができます。
余談ですが、「野菜炒め」は日本でもポピュラーな料理です。
このstir-fryを使って ”a vegetable stir-fry” と言うことができるのですが、英語ではこの単語は「肉を含まない炒め物の意味」として捉えられる可能性があります。
日本のレストランで「野菜炒め」を注文すると、多くの場合は豚肉などが一緒に入っていることがほとんどだと思います。頭に入れておきましょう!
sear|表面を高温で焼く
sear
to burn something with a sudden powerful heat(ロングマン英英辞典)
食材の表面を高温で焼くという意味の英語でよく用いられる単語です。
煮込む前に焼き目をつけたり、表面の皮をパリッとさせたり、食材の表面の質感にこだわって焼いた場合に “sear”が使われるケースが多いです。日本の料理を例に挙げると、鰹のタタキの焼き方は ”sear” ですね!
おまけ① microwave|電子レンジで調理する
直接火を使った調理法ではありませんが、便利な単語を一緒に紹介しておきます。
microwave(verb)
to cook something in a microwave oven(ロングマン英英辞典)
microwaveは電子レンジという名詞で使われることが多いですが、実は動詞でも使うことができるんですよ!
電子レンジを使って調理することを日本語でも「チンする」などと言いますよね。
(チンしてから食べてね!)
このように使えますよ!ぜひ、サクッと使ってみてください。
おまけ②「焦がす」という意味の英単語
火を使うイメージで使われるもので「バーン」や「バーニング」というカタカナ語を聞いたことはありませんか?
burn
to spoil food by cooking it for too long, or to become spoiled in this way(ロングマン英英辞典)
“burn” は「焼く」というより「燃やす」という意味で使われる単語です。
他に「火を使って損傷する・台無しにする」という意味があり、料理の工程を示すときに使うと「失敗した」というニュアンスが出るので注意しましょう。
(ごめーん、ピザ焦がしちゃったー。)The toast burned.
(トーストが焦げてしまった。)
さて、料理の中にもあえて焦がして風味や味わいを出す調理法がありますよね。
この場合は ”char” という言葉が多く使われています。
char
to burn something so that its outside becomes black(ロングマン英英辞典)
“char” は「炭にする」というニュアンスの言葉ですが、料理のテクニックとして「わざと食材を焦がす」場合にはこの言葉を使いましょう。
もちろん、さきほどの ”burn” やフライパンなどにつくような黒コゲに近いニュアンスの “scorch” も使われることはありますが、ともに残念な・失敗したニュアンスを含んでしまいます。
また、炊き込みご飯などの「おこげ」を表すときには ”scorched rice” とするのが一番近いと言えます。
まとめ
最後に、この記事で取り上げた単語をおさらいします。
Prepare 少し高めの食材で
Fix 手早く
Bake パンやお菓子をオーブンで
Toast 食パンを焼く
Roast パン・お菓子以外をオーブンで
Grill 網の上で
Broil 上からの強い直火で炙る
Stir-fry 中華鍋で炒める
Pan-fry フライパンで炒める
Saute サッと炒める
Sear 表面を炙る
Burn (失敗して)焦がす
Char (テクニックとして)焦がす
最初にも紹介しましたが、詳しい調理の仕方を特別に伝える必要がないのであれば、簡単に ”cook” や “make” で十分に伝わります。
ただ、料理の手順を伝えたい場合は選ぶ単語によって微妙にニュアンスが変わります。
今回の記事をおさらいして、自分の言いたい「焼く」がどの単語に最も近いかを考えて文章を作って使ってみましょう!