「ブラックカンパニー」では伝わらないってホント?
日本語では過酷な労働環境を強いる会社のことを「ブラック企業」と表現することがあります。
結論からすると、この「ブラック企業」自体が和製英語であり、英語話者には全く通じません。
しかも、英語話者に向かって「ブラックカンパニー」と言ってしまうと、“全く別の意味(しかも差別的な意味を含む)”として伝わってしまいます。
結論からすると、
これで「ブラック企業で働いています」という意味になります。
この記事では
こちらの内容を解説します!
記事の前半では、「ブラック企業を直訳してはいけない理由」を解説します。
また、「”過酷な労働環境”を表す英語フレーズ3選」や「一緒に覚えておきたいフレーズ」も合わせて紹介するので最後まで読んでしっかりマスターしてくださいね!
ブラック企業は直訳厳禁!black company がNGな理由【黒人の会社】
日本人によくある間違いとして、「ブラック企業」をそのまま直訳し、真っ先に black company を思い浮かべてしまいがちです。
もちろん、日本の文化に詳しい外国人であれば、
「あー、社員を理不尽な条件で働かせるひどい会社のことか」
と、本来の意味を理解してくれる場合もあるでしょう。
一方で、”black”という単語からは、
・主に黒人を雇用する企業
のように誤解され、「差別発言」として捉えられる可能性もあります。
最近では、差別発言への意識向上により「black=黒人」のように使われることはほとんどないでしょう。
ただ、あらぬ誤解をされぬように、しっかり覚えておきましょう!
ブラック企業の英語フレーズ3選【toxic・dishonest・exploitative】
以下のフレーズを解説していきます!
toxic|有毒な・有害な
いきなり余談ですが、”toxic”は2018年のオックスフォード辞典部門の”word of the year” に選ばれた単語です。
※word of the yearは、毎年それぞれ各団体が選ぶ流行語大賞みたいなものです。
toxic は本来、化学物質などの有毒性を表すときに使われる単語です。
職場環境についての文脈では、有害な職場として「ブラック企業」を比喩的に表します。
toxic company と言っても意味は通じますが、ちょっと規模が大きく伝わってしまいます。
実際に働いている現場レベルでの労働条件のことについての話なら toxic workplace とする方が自然でしょう。
実際には、以下のように使われています!
今までブラック企業で働いたことはありません。
彼はブラック企業で働いている。
“with a toxic (working) environment” もよく聴く言い回しなので覚えておきましょう!
dishonest|不正直な
dishonest とは、honest(正直)の対義語で「不正直」という意味を持ちます。
ブラック企業の基準はさまざまですが、
・都合の悪い契約条件は隠されていた
このようなことが起きる会社はとても不正直だと言えます。
そのため、dishonest company というフレーズがブラック企業と同じような意味で使われ始めました。
不正直という描写が抽象的なので、労働条件や従業員の扱いについての説明を加えるとさらにわかりやすく伝えられます。
exploitative/exploit|搾取的な
ブラック企業を別の言葉で言い換えたときに「搾取」という言葉が取り上げられることがあります。
それは、やりがいの搾取だったり、金銭面の搾取であったり幅広い意味で使われます。
日本語の「搾取する」にもっとも近い単語が exploit です。そして、その形容詞の形が exploitative です。
例えば、to exploit employees で「従業員を食い物にする」という意味になります。
このような説明の仕方だと、ブラック企業がどういうものかわからない人にもうまく説明することが出来そうです。
例文をチェックしておきましょう!
旅行会社はブラック企業が多い(旅行業界の多くの会社は従業員を食い物にしている)
ブラック企業を文章で表現する方法【奴隷・長時間労働・パワハラ】
ここまでに紹介したフレーズは、ブラック企業のニュアンスをうまく表現しています。
ただし、一生懸命英語フレーズをマスターしていたとしても「いざ会話をしているときにパッと浮かばない」という状況が必ず誰にも起こると思います。
そんなときには、「文章で説明する」のがもっともシンプルで応用が効く方法です
どのような文章でブラック企業を説明できるか考えてみましょう。
ポイントとしては、
・パワハラ
などをどう言い換えるかを考えるとよいでしょう。
奴隷のように働かせる
あの会社はブラック企業だ(あの会社は、労働者/従業員を奴隷のように扱う)
「slaves:奴隷」という単語を使っているため、捉え方によっては誤った印象を与えてしまいます。
ただ、上記の一文で「長時間労働」や「安すぎる報酬」など、さまざまなニュアンスを含めることができます。
長時間労働
毎日長い時間働かないといけない。
あえて「ブラック企業」という単語を使わなくても、このような文章からは「ブラックっぽさ」がよく伝わりますね。
パワハラ
ハラスメントが日常化している=ブラック企業(日々のハラスメントに直面している従業員もいる)
日本語では「パワハラ・セクハラ」という言葉を使いますが、英語では単にハラスメントというか、”abuse of authority(職権の乱用)” という言葉を代わりに使うことが多いです。
※abuse:誤用、乱用
ブラック企業と一緒に覚えたいフレーズ 2選
ここでは、「過労死」を表すフレーズである
といった日本人にはなじみがないものの、ひどい労働環境を描写するときによく使われる単語を紹介します。
death from overwork
「過労死」は、文字通りに「仕事をし過ぎたことによる死」を英語で表し、death from overwork といいます。
特に、日本では長時間労働より毎年死者が出る社会問題となっていて、英語でもそのまま「karo-shi」とも表現されることもあります。
過労死は解決すべき大きな社会的問題だ。
sweatshop
ひどい労働条件という話題をするときに、英語話者の頭にまず浮かぶのはこの言葉でしょう。
sweatshop:
a place where people work for low wages in poor conditions
オックスフォード辞典より
この説明からは「ブラック企業」という意味に近いように思えるのですが、ウィキペディアに載っている解説を読むと違いがわかりやすいです。
A sweatshop or sweat factory is a crowded[1] workplace with very poor, socially unacceptable or illegal working conditions. (Wikipediaより)
ブラック企業が正社員やもっと広い範囲での労働者に対する会社からの搾取を指しているのに対し、”sweatshop” は主に工場での非正規労働者に対する搾取を意味しています。
まとめ
この記事では
といった内容について解説しました。
記事の中で紹介したフレーズを紹介します。
ブラック企業
- toxic workplace
- toxic working environment
- dishonest company
- exploitative company
職権の乱用(パワハラ)
abuse of authority
過労死
death from overwork
和製英語は意味が通じないだけでなく、誤った意味で伝わってしまう場合もあるために正しい英語表現について知ることはとても重要です。
また、どうやって表現していいかわからないときは無理に気の利いた言葉に言い換えようとするのではなく、一度、小学生に説明できるような簡単な文章にかみ砕いてみましょう。
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